生活保護受給者の遺品整理は誰がすべき?知っておきたいルールと費用を抑えるコツ
最終更新日:2024.11.19
生活保護受給者が亡くなったとき、誰が遺品整理をするのかで揉めることがあります。この記事では、生活保護受給者の遺品整理をする立場になってしまった場合の対処法と拒否する方法を解説します。
こんにちは。おうち整理士の榛田(はりた)です。生活保護受給者は身寄りのない人が多く、亡くなった後の相続や遺品整理がなかなか進まないことも珍しくありません。生活保護受給者が亡くなったときの遺品整理について、知っておきたいルールと費用を抑えるコツを紹介しますので、一緒に確認してみましょう。
目次
生活保護受給者の遺品整理は誰がやる?
ここからは生活保護受給者の遺品整理をやるべき人や、費用を負担する人について解説します。遺品整理したくない場合の対処法も紹介するので、チェックしてみてください。
遺品整理は誰がすべき?
生活保護受給者が亡くなった場合、遺品整理をするのは相続人(親族または遺言で相続者になった人)、もしくは物件の所有者です。
「賃貸契約の際に用意した連帯保証人に負担の義務はないの?」と思う人は多くいますが、連帯保証人が負担するのは賃貸の退去時にかかる費用です。遺品整理費用を負担する必要はありません。遺品整理は原則として相続人が行うことと定められているからです。
ただし、賃貸契約の退去時の項目に「遺品整理費用も負担」とかかれている場合は、連帯保証人の負担になるのでご注意ください。このように遺品整理は相続人が進めるのが一般的で、相続を拒否されたり、相続人がいなかったりした場合に物件の所有者が対処します。
とはいえ、生活保護受給者は身寄りのない人が多く、相続人が見つからないこともあります。この場合は、自治体に調査を依頼することも可能です。
総務省の「地方公共団体における遺品の管理に関する事例等」によると、探索は半年~1年以上かかることがあるため、住居の遺品を保管するよう自治体に求めたほうがよいでしょう。自治体によっては調査や遺品の保管に対応していない点にだけご注意ください。
相続人が遺品整理をしたくない場合は?
相続人の中には受給者との関係が薄く、遺品整理をしたくない人もいるでしょう。このような場合は、相続放棄という手段があります。相続放棄とは、故人の財産を一切相続しない行為で、遺品整理をする義務も消失します。どうしても遺品整理をしたくない人や、故人のマイナスの遺産(負債)を相続したくない人に向いている方法です。
しかし、相続放棄にもさまざまな注意点があります。代表的なのは、ご自身が相続人になると知ってから3ヶ月以内に、家庭裁判所への申告が必要になることです。また、勝手に遺品を売ったり処分したりしてはいけない点も覚えておいてください。遺品整理をしてしまうと相続の意思があるとみなされ、相続放棄できなくなります。
相続放棄などで相続人不存在となった場合、遺品は相続財産管理人によって管理されます。
相続財産管理人は、利害関係人(亡くなった方の債権者、特定遺贈を受けた者、特別縁故者など)や検察官の申立てを受けて家庭裁判所が選任するもので、選任後は故人の債務を支払うなどして清算し、残った財産を国庫に帰属するよう手続きします。
これは民法第 951 条から第 959 条に定められており、この手続きを踏まなければ第三者が遺品を勝手に処分することはできない点も覚えておきましょう。
遺品整理費用は誰が負担する?
遺品整理費用は原則、遺品整理する人の自己負担です。
故人が受給していた生活保護費を遺品整理に充てたらいいのでは?と考える方もいるかもしれませんが、それはできません。というのも、生活保護は対象者が生きている間に「健康で文化的な最低限度の生活を保障する」制度であり、死後の遺品整理費用はその対象にならないからです。
しかし、必ずしも遺品整理する人が負担しなければならないわけではなく、相続拒否などで自治体が負担するケースもあります。
遺品整理の費用を抑える方法
亡くなった方が生活保護を受給していたことで、一部の費用を抑えられることがあります。ここからは、遺品整理などにかかる費用をできるだけ抑える方法を解説します。
葬祭扶助を申請する
葬祭扶助とは、経済的に困窮している遺族のために、自治体が最低限の葬祭費を支給する制度です。亡くなった方の葬祭を行う人がいない場合も対象になり、葬儀方法は火葬のみを行う「直葬」になります。(生活保護法18条)
支給額は自治体によって異なります。おうち整理士のある大阪市では、生活保護を受給している10歳以上の方が亡くなった場合、22万1400円が支給されます(運搬・葬祭費:21万1400円、火葬代:1万円)。支給額は葬儀までの日数などで多少変動しますが、基本的には上記の金額が支給されると考えて差し支えありません。
また、葬祭扶助を申請する際は、ケースワーカーを通じて福祉事務所に連絡しましょう。申請が認められた後に葬儀会社に連絡が入るので、必ず葬儀前に申請してください。
遺品整理業者に依頼するときは相見積もりを取る
遺品整理は時間と労力がかかるため、自力で進めるのは容易ではありません。個人でやろうとしなくても、遺品整理を専門に請け負っている業者(遺品整理業者)がいるので、まずは電話やメールで相談してみましょう。大量の不用品やごみが残っていても、一括で回収してもらうことができます。
遺品整理業者に依頼することになった場合は、2、3社から見積もりを取るのが安全です。相見積もりがあれば相場を把握できますし、サービス内容も比較しやすくなります。
わたしたちおうち整理士でも相見積もりは大歓迎です。見積もりの内容次第では、他社よりもお安くできます。まずは無料の簡単見積もりをお試しください。10秒程度で費用相場がすぐにわかりますよ。
【簡単】10秒で完了!
また相見積もりをする前に、遺品整理業者を選ぶときのポイントなどを詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
>>あわせて読みたい『良い遺品整理業者の選び方4つ|プロが教える業者を見分けるコツ』
粗大ごみ手数料の減免措置は利用できない点に注意
多くの自治体では、生活保護受給者が排出する粗大ごみ手数料を減免しています。おうち整理士のある大阪市の場合、点数に関係なく無料で処分することが可能です。
ですがこの制度は、生活保護受給者の死後は適用されません。生活保護受給者が使っていた家具だからといって、無料で処分することはできないのです。手数料を支払いたくない人は家具などを小さく分解し、可燃ごみや不燃ごみとして捨てましょう。
まとめ
遺品整理をするのは相続人(親族または遺言で相続者になった人)、もしくは物件の所有者です。一般的には相続人が進めることになっていますが、拒否された場合や相続人が見つからなかった場合は物件の所有者が対処する必要があります。
法律が変わって受けられるサービスが増える可能性もあるので、まずはケースワーカーに連絡してみましょう。
葬儀や遺品整理にかかる費用を安く抑えたい場合は、自治体のホームページを確認したり、遺品整理業者から相見積もりを取ったりするのが安全です。
これまでにおうち整理士で700件以上の遺品整理を担当。特殊清掃、リフォーム、骨董品買取など幅広い経験を重ねた上で知識を取得し、お客様に寄り添った仕事をモットーとしている。一般社団法人 遺品整理士認定協会「遺品整理士」を所持。