相続放棄しても大丈夫?遺品整理の前に確認しておくべきことを解説
最終更新日:2024.11.25
遺品整理において気になるのが「相続放棄」ですよね。
相続放棄は、故人の遺した財産が負債を上回る場合に選択される手段です。この手続きにより、相続人は故人の権利・義務を一切受け継がないことになります。相続放棄には手続きの期限やさまざまなルールがあり、把握しないまま遺品整理を行うとトラブルにつながることも・・・。
この記事では相続放棄に関して、法的な規則や確認しておくべきことを解説します。
こんにちは。おうち整理士の榛田(はりた)です。今回は、相続放棄のルールや遺品整理との関係性について詳しくご紹介します。
目次
相続放棄とは何か?
相続放棄とは、法律上の手続きによって相続人が故人の財産や負債を引き継がないことを指します。基本的に、被相続人が残した借金や未払いの料金がある場合に選ばれることが多いです。この際、相続人は遺産の一切を放棄することになります。
相続放棄をする場合は、家庭裁判所にて手続きが必要です。相続を放棄することで、負債が直接相続人に影響を及ぼさなくなるため、多くの人が選択する手段となります。ただし、相続放棄をすると、その他全ての遺産も受け取れなくなるため、慎重に検討しましょう。
単純承認とは
単純承認とは、相続人が相続財産を条件なく受け入れることを意味します。これは被相続人の資産だけでなく負債もすべて引き継ぐことを指します。
相続放棄には様々な手続きが伴いますが、単純承認に特別な手続きはありません。相続放棄を選択する場合、何も手続きを取らずにいると、負債を抱えるリスクが伴います。単純承認を行う場合は、故人が所有していた財産や負債の内容を詳しく確認する必要があります。従って、特に負債がある場合は法的アドバイスを受けることが推奨されます。
法定単純承認にみなされてしまう行為
相続放棄後でも、特定の行為を行うと法定単純承認にみなされる可能性があります。
例えば、故人の預貯金を一部引き出したり、故人の財産を処分したりすることが挙げられます。こうした行為は、相続放棄の意思を無効にする恐れが高まるため、注意が必要です。また、相続の開始があったことを知った時から3ヶ月以内に意思表示しない場合も単純相続とみなされるのでご注意ください。
意図せず、相続財産の一部でも受け取ってしまうと、相続を承認したと見なされかねないため、十分な確認を怠らないよう心掛けたいところです。
限定承認とは
限定承認は、遺産の範囲内でのみ負債を支払うことを条件とする手続きです。遺産がプラスの財産の場合、その分を受け取り、マイナスの財産に対しては責任を負わないことになります。このため、相続放棄と単純承認の中間に位置づけられる選択肢として活用されます。
しかし、この手続きも所定の期限内に行わなければ即失効となり、通常の相続手続きに移行してしまいます。また相続人全員の同意が必要であったり、家庭裁判所への手続きが必要だったりと、他の方法に比べ手間がかかる点にもご留意ください。
相続放棄後に注意すべきこと
相続放棄後には、様々な注意点があります。後々のトラブルを避けるために、事前に確認しておきましょう。
相続財産の処分はしない
相続放棄後は、相続財産の処分を行うことは厳禁です。もし財産を処分してしまうと、法的に「相続を承認した」と見なされてしまい、相続放棄が無効になってしまう恐れがあります。そのため、どのような物も安易に処分することは避けなければなりません。物品の中には、意外と価値があるものが含まれている場合もあるので、感情に流されて処分する行為は慎むべきです。
相続放棄の手続きを経てからは、故人の遺品や財産を取り扱う際に、慎重に行動し、必要に応じて専門家のアドバイスを求めるのが賢明です。特に価値が不明なものを処分する際には、注意が求められます。適切な行動が、後々のトラブルを防ぐ第一歩となります。
遺品は売却しない
相続放棄後には、遺品を売却することも厳禁です。この行為により、相続財産を受け取る意思があると見なされてしまいかねません。結果的に、相続放棄が取り消されるリスクがあるため、注意しましょう。故人の持ち物には思い入れがあり、早急に片付けたい気持ちが高まるかもしれませんが、法的な側面から見ても慎重であるべきです。
特に価値のある品に関しては、更なる問題を引き起こす可能性があるので、専門の業者への相談や適切な手続きを経ることが大切です。後々の感情的な負担を軽減するためにも、冷静に行動しましょう。事前にしっかりと情報を整理し、適切な対応を心がけることが、トラブル回避につながります。
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相続放棄したら遺品整理はどうなる?
相続放棄後の遺品整理は、状況によって異なります。それぞれのケースを見ていきましょう。
家や賃貸物件の場合の対応
相続放棄後の家や賃貸物件の扱いについては、慎重な判断が必要です。たとえば賃貸物件の場合、賃貸借契約の継続や解約手続きにおいても事情が異なるため、大家とのやり取りが必要です。無用な賃料の発生を防ぐために、早めの対応が求められます。一方で、相続放棄した場合に、自動的に責任が無くなるとは限らないため、管理や契約についての確認が不可欠です。
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故人が孤独死したらどうする?
故人が孤独死した場合、通常の遺品整理よりも特別な配慮が必要です。このような場合、特殊清掃業者に依頼することが一般的です。
特殊清掃は、故人の生活環境や遺品整理に関する専門的な知識と技術が必要な作業です。清掃が完了した後も、感情的な整理が必要な場合が多く、その影響は深刻です。孤独死という状況に直面した際は、遺品整理だけに留まらず感情面でもサポートを受けることが大切です。
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車や家具などの処分方法
車や家具を相続放棄した後に処分する場合には、特別な注意が求められます。車は基本的に高価なため、適切な方法で処分しなければなりません。相続放棄後は、車を勝手に売却することがトラブルを引き起こす原因となるため、事前に弁護士など専門家の意見を参考にしましょう。
家具や家電についても同様です。資産価値がないとみなされる場合は、処分しやすいかもしれませんが、その判断は慎重に行うべきです。不明な点が多い場合は、遺品整理業者に相談し、判断を仰ぎましょう。相続放棄後に進める処分の方法には、法的な理解が重要です。
遺品整理業者に依頼する際のポイント
遺品整理を業者に依頼する際には、いくつかの重要なポイントがあります。ひとつずつ確認していきましょう。
遺品整理の費用について
遺品整理の費用については、業者によって異なる場合があるため、十分な確認が必要です。一般的には、物量や作業内容、処分する物の種類によって費用が変動します。具体的な価格設定には、トラックのサイズや運搬の距離も考慮されるため、見積もりを取る際には詳細に記載してもらうことが望ましいです。
費用については、パッケージ料金を設定している業者もあれば、個別の料金体系を持っている業者もあります。できるだけ複数の業者から見積もりを取得し、比較することで、適正な料金を把握することが重要です。適切な遺産整理を行い、それに見合った費用を支払うことは、後々の満足度にもつながります。
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遺品整理を業者に頼むメリットとデメリット
遺品整理を業者に依頼するメリットは、業者の迅速で専門的なサービスが受けられる点です。ノウハウのあるスタッフが効率良く処分を進めてくれます。
一方で、デメリットも存在します。業者に依頼する際の費用が発生し、時には予想以上に高額になることもあります。また、業者によっては信頼性が低い場合もあります。したがって、十分なリサーチを行い、信頼できる業者を選ぶことが重要です。選ぶ際には、予算とサービス内容をしっかり比較検討しましょう。
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まとめ
相続放棄や遺品整理においては、様々な要素が絡み合い、特に感情面でも複雑な関係性が生じることがあります。細心の注意を払いつつ行動しましょう。
遺品整理に関連する業務であっても、個々の状況によって異なる側面がありますので、事前にしっかりとした計画を立てることが大切です。専門家のアドバイスを受けながら、自身の意向や関係性を適切に反映させた対応を検討することが肝心です。
相続に関する法律や手続きについても理解を深めることで、トラブルを未然に防ぎましょう。
これまでにおうち整理士で700件以上の遺品整理を担当。特殊清掃、リフォーム、骨董品買取など幅広い経験を重ねた上で知識を取得し、お客様に寄り添った仕事をモットーとしている。一般社団法人 遺品整理士認定協会「遺品整理士」を所持。