おひとりさまの終活でやるべき6つのこと
最終更新日:2024.11.19
ここ数年で耳にする機会が多くなった「終活」という言葉。
死を意識し始めるシニア世代だけではなく、最近では30代くらいの若い世代で終活をはじめる人も増えています。
「終活」と聞くと、自分が死んだあと家族に迷惑をかけないために、生前から身の回りを整理しておくというイメージがありますが、実は周りに頼れる人がいないおひとりさまにこそ「終活」が必要なんです。
では、おひとりさまの場合は終活をどう進めていくべきなのでしょうか?
こんにちは。おうち整理士の榛田(はりた)です。ここでは、おひとりさまに終活が必要な理由と、終活の進め方をご紹介します。
目次
高齢のおひとりさまは増えている
年々、高齢者のひとり暮らしの割合は増えており、現在では65歳以上男性の8人に1人、65歳以上女性の5人に1人がひとり暮らしです。昔は2世代・3世代に渡って家族で一緒に暮らすのが普通でしたが、今ではどの世代においても、ひとり暮らしが特別ではなくなってきました。
今ひとり暮らしをしている人がみんな、生涯に渡っておひとりさまだったとは限りません。配偶者との離婚や死別を経て、現在おひとりさまだという方もいるでしょう。
「自分とは関係のないことだ」と思っていても、誰しも老後、おひとりさまになる可能性があるのです。
おひとりさまにも終活って必要?
終活は家族に迷惑をかけないために行うイメージがありますが、自分のセカンドライフを豊かにするという意味合いもあります。
高齢のひとり暮らしは現代社会において、さまざまなリスクを伴います。ケガや病気で体が動かせなくなったり、判断能力が低下して自分の身の回りのことができなくなる前に、色々と準備しておく必要があります。
すぐに助けてくれる身内がそばにいないおひとりさまだからこそ、終活が必要なのです。
体が元気で、判断力のある今のうちに終活を始めて、残りの人生をより楽しく過ごしましょう。
おひとりさまが終活をするメリット
おひとりさまが終活をするべき理由をご紹介します。
メリット1.孤独死のリスクを減らせる
おひとりさまで一番心配なのが「孤独死」です。
高齢でひとり暮らしをしている人の数は増え、それに伴って孤独死の件数も年々増加しています。
東京23区における一人暮らしで65歳以上の人の自宅での死亡者数
画像引用元:東京都福祉保健局東京都監察医務院「東京都23 区内における一人暮らしの者の死亡者数の推移」
例えばひとり暮らしだと、家の中で転んでしまい、その場から動けなくなっても誰にも発見されない。ということも起こり得ます。
終活を行うことで、こういった不測の事態に備えておくことができます。
メリット2.死後の不安を回収できる
「終活」は死んだ後のためだけに行うことではありません。「葬儀はどうしよう。お墓はどうなるのかしら。」と焦燥感に駆られていては、生きづらいですよね。これらを解決することは、いま生きている自分を安心させることにも繋がります。
終活を行うことでセカンドライフを充実させ、これからの人生について考えることができるのです。
では「おひとりさまの終活」では具体的に何をすればいいのでしょうか?
おひとりさまが終活でやるべき6つのこと
1. 生前整理(身辺整理)・断捨離
生前整理(身辺整理)は終活のメインとも言える作業です。
終活における片付けは「整理整頓」とは違い、必要なものとそうでないものを分けていく断捨離の意味合いが強くなります。物を減らして家の中を整理することで、物につまづいたりケガのリスクも抑えられます。また、どこに何があるかを把握しておくことでよりストレスのない生活を送ることができます。
終活で断捨離を始めた方の中には、「最終的に持ち物をスーツケースに収まる量にすることが目標」と言う人もいます。しかし死んだ後には何も持っていけません。
生前整理によって、本当に必要なものが何なのか気付くキッカケにもなりますし、今後の人生を大切なものと一緒に暮らすことができますよ。
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2. 葬儀・お墓を決めておく
終活の一環として取り組む人が増えているのが、葬儀やお墓の生前予約です。
ひと昔前までは、生きている間に葬儀やお墓について考えるのは縁起が悪いとタブー視されていました。しかし、最近ではおひとりさまが増えていることもあり、葬儀やお墓の生前予約は一般的になってきています。
葬儀社に事前に自分の葬儀について相談し、規模や内容を決めて内金を支払うことで自分らしい葬儀をすることができます。
葬儀・お墓だけでなく永代供養も生前予約できるので、あわせて決めておくと良いでしょう。
3. 地域のコミュニティーに積極的に参加する
各自治体が仕切っている地域のコミュニティや近くの喫茶店など、日頃から地域の集まりに参加しておくことで、いざという時に「今日は◯◯さんが来ていないけど大丈夫かな?」と安否確認をしてくれます。
戸籍上の家族や身内がいなくとも、自分の死後や有事の時に何かを頼める友人がいるというのは非常に心強いことです。
役所に自分がひとり暮らしであることを伝えておくと、より安心ですよ。
4. 死後事務委託契約を利用する
クレジットカードの解約や、入院費の精算、葬儀の主宰など、人が死亡した後はさまざまな手続きが発生します。
それらの事務手続きを任せられる家族がいない場合に、生前から「あなたにお願いします」と第三者に頼んでおく契約が「死後事務委託契約」です。
信頼できる友人・知人に依頼しても良いですし、弁護士や司法書士・行政書士などの法律の専門家にも依頼することができます。
死後の事務手続きは基本的に親族が行うことを前提に法律も作られています。おひとりさまで親族がいない場合にスムーズに手続きを行うためにも、死後事務委託契約を積極的に利用するのがおすすめです。
5. 任意後見人制度を利用する
死後のことだけでなく、生きている間に判断能力がなくなってしまうことも考えておかなければなりません。
任意後見人制度は、認知症などで自己判断ができなくなった時、「後見人」に代理として財産管理や介護・福祉サービスの手配、税金の納付手続きなどを行ってもらう制度です。
「後見人」は、自分に判断能力があるうちに決めておきます。
死後事務委託契約と同じく、親しい友人・司法書士・法人など信頼できる人なら誰でも後見人として指名することができます。
認知症だけでなく、事故で脳に損傷を受けるなど、突然判断能力がなくなってしまうのは誰にでもありうること。
おひとりさまの場合は、家族の介護を受けられないので、今から後見人制度を利用しておくと安心です。
6. エンディングノートを書く
エンディングノートって?
エンディングノートとは、自分の死後の要望などをはじめ、家族・友人・知人に伝えたい思いをしたためるものです。
遺言書と異なり法的効力がないため、書き方に決まった形式は存在しません。
自分が亡くなった時だけでなく、意思疎通が取れなくなってしまった時のためにも、介護や医療についての希望を書き記しておくことができます。
終活を行うにあたって、近年このエンディングノートを使用する人が増えています。
とくに、おひとりさまの場合は、何かあったときのためにと簡易的なエンディングメモを作って常に持ち歩いている人もいます。
例えば、
- ・治療について
- ・葬儀について
- ・お墓について
- ・訃報を伝えてほしい友人のリスト(連絡先もあれば記載する)
などを書き記します。
身寄りがなくとも、自分の意思で決められることは元気なうちに決断しておく。
自分のメモで最低限の意思表示ができます。
財産がないから遺言は必要ない?
「自分には残す財産がないから遺言は必要ない」という方もいます。
しかし、「財産」はお金のことだけではありません。土地、不動産、自動車、生命保険などもすべて財産にあたります。また、いつ亡くなるか分からない以上、お金であってもきれいに使い切るのは不可能です。
相続人がいない人のこれらの財産は、最終的に全て国に納められます。それでいい。と言う方もいるでしょうが、せっかく今まで自分で貯めた財産の使い道は自分で決めたくありませんか?生前、よくしてくれた人に譲渡するなり、団体に寄付するなり、遺言に意思を残しておくことで、自分の大切な人に届けることができます。
よく考えて、遺言で自分の意思を残すことをおすすめします。
終活をはじめるべき時期は?
結論から申し上げますと、終活をはじめるべき時期はありません。
強いて言うなら「まだ早い」と思っているタイミングでしょう。
「もう遅いのかな?」とお考えの方は今すぐにでもはじめるべきです。
年齢は関係ありません。なぜなら、終活は「死に向けた作業」や、「死んだ後のための準備」というよりも、「残りの人生をどう生きるか」という意味合いが強いからです。
さらに、家族に伝えておきたいこと、自分の死後の要望もしっかりと判断力のあるうちに書き記しておいた方が良いでしょう。
「まだそんな年齢じゃない」と思う方もいるでしょうが実際、30代から終活をはじめる人もいます。残りの人生を無駄なく豊かに過ごしたいという気持ちがあれば、元気なうちに早めに取り掛かるのが良いと思いませんか?
いつまでにやらなければいけない。という決まりはありませんが、いつできなくなるか分からないという事実があります。 今できるうちに早めに始めておきましょう。
まとめ
晩年をよりよく生きるための自分整理が終活です。これからのセカンドライフを、おひとりさまでも充実させるために、今から終活をはじめてみませんか。
終活での断捨離などお片付けにお困りでしたら、わたしたちおうち整理士にご相談ください。
これまでにおうち整理士で700件以上の遺品整理を担当。特殊清掃、リフォーム、骨董品買取など幅広い経験を重ねた上で知識を取得し、お客様に寄り添った仕事をモットーとしている。一般社団法人 遺品整理士認定協会「遺品整理士」を所持。