デジタル遺品の対策 | スマホのパスワード解除方法やデジタル生前整理も解説
最終更新日:2025.03.05

故人の遺品の中にあるパソコンやスマホに残されたデータやクラウド上やネット金融に残された資産をデジタル遺品と呼びます。以前よりも認知されるようになった「デジタル遺品」という言葉ですが、まだ法整備が追い付いていない部分があります。
今回は、デジタル遺品の定義や内容、デジタル遺品をめぐって起こりやすいトラブルや残された情報や本体の処分方法などをご紹介します。

こんにちは。おうち整理士の榛田(はりた)です。ここ数年で増えてきたデジタル遺品への対応の仕方や自分が残す時の注意点をご紹介します。
デジタル遺品とは?
スマホやパソコンに残された故人のデータや本体がデジタル遺品です。昔は遺品と言えば、故人の持ち物など現実に存在する物理的なものでしたが、近年はインターネットやクラウドサービスの発達もあり、デジタル上に故人の資産が残されることも多くなってきました。そのため、デジタル遺品という言葉がうまれたのです。
デジタル遺品の種類
デジタル遺品には種類があります。どういったものがあるのか、見ていきましょう。
ハードウェアのデジタル遺品
ハードウェアとしてのデジタル遺品には、さまざまな形式があります。
- パソコン
- スマートフォン
- タブレット
- デジカメ
- USBメモリ
- 外付けハードディスク
- DVD
- CD-ROM
デジタル遺品の整理を行う際には、これらのデバイスや記録媒体に保存されているデータがどのようなもので、どのように扱うべきかを事前に検討しておきましょう。
ソフトウェアのデジタル遺品
ソフトウェアのデジタル遺品には、下記のものが含まれます。
- SNSやクラウドストレージに保存されたデータ(写真や音楽、日記、仕事の資料など)
- GmailやEメールなどのメールアドレスやその内容
- ネット金融のオンライン口座
- PayPayなどのキャッシュレス決済の残金
- ショッピングサイトのIDデータ
- 自動更新の有料オンラインサービス
デジタル遺品で起きるトラブル
デジタル遺品をめぐってトラブルが起きることもあります。どういったトラブルがあるのか、またその解決方法をご紹介します。
そもそもスマホやパソコンにログインできない
ありがちなのが、遺されたパソコンやスマートフォンがあっても、パスワードがわからないためログインできず、どんなデジタル遺品があるのかさえわからないケースです。
また、近年では手帳ではなくスマートフォンやパソコンに友人や知人の連絡先を入れている人が多く、「スマホが見られないと葬儀に誰を呼べばいいのかわからないということもあります。
スマートフォンやパソコンにログインできない時の解決方法
スマートフォンやパソコンにログインできない場合、解決する方法はありますが、ひとつ注意をしたいのは、ロック解除には相続者全員の同意が必要な点です。デジタル遺品を誰が相続するのか決まっている場合は問題ありませんが、そうではない場合には、ロックを解除するにあたって相続者全員の同意を取りましょう。
パスワード解析ソフトを使う
パスワード解析ソフトを使う手もあります。これは、「******」と表示されるパスワードを文字化できるものから、パソコンやスマートフォンのロックそのものを解除してくれるものまで、種類はさまざまです。パソコンやスマートフォン、タブレットの機種やメーカーによって対応の有無が異なります。また、日本語対応しているものとそうでないものがあります。
パスワード解析ソフトを使うメリットとして、自分たちでロック解除できる点があげられます。無料ソフトもありますが、ウィルス感染の危険もあるため、口コミやレビューなどを見て判断しましょう。
また、パスワード解析ソフトで各種端末にログインできたとしても、全てのデータが無事とは限りません。
例えば、Googleの「Googleデバイスを探す」という機能でAndroid端末のロックを解除した場合、端末に残っていたデータは全て消去されます。他のソフトを使った場合も、データの安全は保証されません。「試してみたらデータが全部消えてしまった」ということもありえます。リスクを把握した上で使いましょう。
iPhoneのロック解除ソフト4選
iPhoneのロック解除ソフトを4つご紹介します。
- Wondershare Dr.Fone – iOS Suite(Mac版、Windows版)
- ロックされた状態のままでもデータをバックアップできる機能がついているため、ロック解除後にバックアップしたデータを復元することでiPhoneに残ったデータを見られるようになります。
- Wondershare Dr.Fone – iPhone画面ロック解除(Mac版、Windows版)
- 5分でロック解除ができるソフト。ただし、iPhoneに残っていたデータは削除されます。「本体だけ引き継ぎたい」「iPhoneを今すぐ使えるようにしたい」という場合に向いています。
- EaseUS MobiUnlock 公式サイト
- iPhone/iPad/iPodのロックをワンクリックでできるソフトです。4/6桁のコード、Touch ID、Face IDに対応。こちらもデータは消えてしまいますが、本体が使えるようになります。
- Tenorshare 4uKey 公式サイト
- 4/6桁のパスコード、Touch ID / Face ID、カスタム英数字コードなどあらゆるロックの解除に対応するソフト。有料でロック解除と共にデータもすべて消去されます。
Androidのロック解除方法
Androidの場合、iPhoneと違い製造会社が多岐にわたるため、機種によっては非対応のソフトがあります。ダウンロードする前に、手持ちの機種が対応しているのか確認してみましょう。
- Y!モバイルの解除方法
https://www.ymobile.jp/support/faq/view/23043 - Y!モバイルを使っている場合には、こちらの方法でロックが解除できることがあります。
- 4ukey for Android 公式サイト
- パターン、PINコード、パスワード、生体認証のロック解除ができ、ほぼ全てのAndroid携帯をサポートしているソフト。ロック解除後にデータは全て削除されるのでご注意ください。
- DroidKit 公式サイト
- パソコンを使ってandroid端末のロックを解除できるソフト。特筆すべきは、バックアップなしでデバイスからデータを復旧できるところです。復旧できるデータは13種類と限りがありますが、連絡先や着信履歴、写真、LINEなど故人の情報を求めるには充分な量です。ただし、故人が入れていたアプリは復旧しません。
ロック解除の専門業者に依頼する
スマートフォンやパソコンのロック解除を専門にしている業者に依頼することもできます。
ロック解除に対応している専門家を3社ご紹介します。
- デジタルデータフォレンジック 公式サイト
- フォレンジックとは、デジタル機器から法的証拠に関わるデータを抽出する技術です。こちらの企業では、その技術を使って個人・法人を問わずデジタル機器のトラブルの対応をしています。実際に警察や捜査機関からの依頼にも応えており、高い技術力が期待できます。
- PCホスピタル 公式サイト
- 年間で16万件のデジタル遺品のトラブルを解決してきた企業。主だった相談はやはり「パスワードがわからない」というもの。テレビにも紹介され、料金も明瞭です。パスワードの解除からデータの復旧、ホームページの削除など細かな部分にも対応しています。
- GLCデータテクノロジー 公式サイト
- パスワードのロック解除や暗号データの解析サービスを行っている企業。パソコンやスマートフォンはもとより、ガラケーにも対応している。ホームページにある対応機種以外も相談に応じてくれるため、守備範囲が広くなっています。
死亡した家族のAppleIDを入手する方法
iPhoneなどでおなじみのAppleでは、故人のAppleIDやデバイスに遺された情報を見るための手伝いをしてくれます。
裁判所から「この人には遺産相続の権利がある」という証明書(法定相続情報証明)を発行してもらう必要があるので、時間がかかることを考慮しておきましょう。
詳しくは以下の公式サイトにてご確認ください。
「亡くなったご家族のApple Accountへのアクセスを申請する方法」
https://support.apple.com/ja-jp/102431
株や投資信託などネット金融やFX口座の見落とし
今ではネット上で株や投資信託もできるようになりました。こういったネット金融の存在を見落としてしまうと、相続のやり直しや損害が発生するリスクがあります。
特にFXは、市場の動向が激しく、思わぬ損失をこうむってしまうことも少なくありません。
その損害も相続人が引き継ぐことになるため、株や投資信託・FXなどの口座がないか必ず確認しましょう。
また、ネット金融に関する情報は、故人が契約していたプラットフォームやサービスによって異なるため、きちんと整理しておく必要があります。
必要に応じて各サービスのサポート窓口に問い合わせて、故人のアカウントや取引状況を確認しておけばトラブルを防げます。
有料のアプリやサービスの登録に気づかず、継続して支払いが発生
スマートフォンやパソコンで使える有料アプリやサービスは、自動更新されることがよくあります。スマートフォンやパソコン本体の処分をしたとしても、契約は解除されません。映画や音楽、ビジネスツール、レシピサイトといった有料サービスの契約が残っていないか確認しましょう。
ほとんどのサービスは、ログイン情報がわからなくても運営元に連絡をすれば本人情報を確認した上で対応してくれます。どこの有料サービスに登録しているのかわからない場合は、銀行の引き落とし履歴やクレジットカードの履歴を見てみましょう。引き落とし情報が載っているはずです。
遺族が見たくない写真や故人が隠しておきたかったデータなどを発見してしまう
デジタル遺品で問題になりがちなのが、データを確認する際に、故人が隠しておきたかったデータや遺族が見たくなかった写真などを見てしまうケースがあることです。
遺族側としては回避のしようがありませんが、自分がデジタル遺品を残す際には、フォルダにまとめて暗号化するなどして対応することができます。
日頃から見られたくないものは隔離しておくようにしましょう。
→あわせて読みたい
「実際にあった遺品整理トラブル!気をつけるべきポイントと巻き込まれない方法をプロが徹底解説」
デジタル遺品を扱うポイント
デジタル遺品を整理する際に気をつけるべきポイントについてまとめました。
デジタル遺品の中身は見てもいい?
スマートフォンやパソコンは個人情報のかたまりです。遺品として遺された場合も「見ていいのかな」と葛藤する人は多いでしょう。
結論から言うと、相続人であれば本体に残されたデータを見ても問題ありません。ただし、SNSなどログイン情報やパスワードが必要なものは、アカウントを所持する本人(故人)以外が見た場合、不正アクセス禁止法(不正アクセス行為の禁止等に関する法律)に抵触する恐れがあります。
遺言に故人の遺志が示されている場合や、エンディングノートに記載されている内容があれば、それに従って行動することが最も望ましいです。
残された本体はどうすればいい?
遺されたパソコンやスマートフォンの本体は遺族が使ったり売ったりすることができます。どういった手続きが必要なのか、ご紹介します。
スマートフォンやタブレットの解約か名義変更をする
スマートフォンやタブレットは、その後も使うならば名義変更をしておきましょう。そうでない場合は、遺族が解約をすることもできます。ただし、ロックが解除できない場合は、契約が維持されるだけで中のデータを見ることはできません。
大手キャリアの遺族による解約や名義変更の手順や必要なものを記したページはこちらです。
・NTTドコモ
https://www.docomo.ne.jp/support/mortality/
・ソフトバンク
https://www.softbank.jp/support/faq/view/10560
https://www.softbank.jp/support/faq/view/10053
・au
https://www.au.com/support/faq/details/00/0000/000001/pg00000120/
売る場合には、データを削除してから
スマートフォンやパソコン、タブレットなどは解約をした後に本体をリサイクルショップやフリマアプリで売ることもできます。中に入っているデータは個人情報のかたまりなので、データの消去や初期化を忘れないようにしましょう。
また、リサイクルショップに持ち込む際は、店舗によって査定の基準が異なるため、複数の店で見積もりをとることをおすすめします。
デジタル遺品を受け取ったらどうすればいい?
デジタル遺品を受け取った際に行うべきことをご紹介します。
ロックの解除は必須
昔は親戚や親しい人の連絡先は手帳に書くのが主流でしたが、今では「連絡先は全部スマホに入っている」「クラウドサービスに置いている」という人も珍しくありません。そうすると、通夜や葬儀の連絡を誰にすればいいのかわからなくなってしまいますよね。
また、ネット銀行やネット投資など、金融財産がある可能性もあります。故人から遺産の詳細を聞いていない場合には、スマホのロックの解除が必要になります。
故人と親しい人に葬儀の連絡を入れる
スマートフォンやパソコンの中に残っている履歴を見て、故人と親しい人に通夜や葬儀の連絡を入れましょう。
全ての人に個々で伝えるのは大変なので、「故人と親しかった他の人にも伝えて欲しい」と伝言を頼むと効率的です。
追悼アカウント機能を使って告知する
SNSには、追悼アカウント機能があるものもあります。
この機能を使用することで、故人のアカウントを記念として残し、その中で故人を想うメッセージや思い出を共有することができます。
また、故人の死を公に知らせるための告知も簡単に行うことができるため、葬儀や追悼行事の情報を迅速に広めることが可能です。
主なSNSの追悼アカウント情報は、以下の通りです。
- 利用者が亡くなった後にその家族や友達が集い、思い出をシェアできる機能があります。アカウントを追悼アカウントにすると、他のユーザーがログインできなくなるため、思い出を安全に保つことができます。
詳しくは公式サイトの説明をご覧ください。
https://ja-jp.facebook.com/help/requestmemorialization - ユーザーが亡くなったことを報告するとそのアカウントは追悼アカウントになります。追悼アカウントになると、そのアカウントには誰もログインできなくなり、故人の発信していた情報が表示され続けます。また、「発見」など特定の場所には表示されなくなります。
詳しくは公式サイトの説明をご覧ください。
https://ja-jp.facebook.com/help/instagram/231764660354188 - X(Twitter)
- 追悼アカウント機能は存在しません。(2025年3月現在)
また、利用者が亡くなった連絡をした場合、遺族と共にそのアカウントを停止します。他のSNSと違うのは、アカウントの保存ではなく削除に動くという点です。削除をしたくない場合には、そのままにしておいたほうがいいでしょう。
https://help.x.com/ja/rules-and-policies/contact-x-about-a-deceased-family-members-account
ネット金融や使っている有料サービスの確認
故人が使っていた有料サービスやネット金融、PayPayなどのキャッシュレス決済サービスに残されている金額を確認しましょう。
相続の際にネット上での資産が明らかになっていないと、相続をやり直しする羽目になることもあります。
また、証券口座などを放置しておくと、思わぬ損害が発生するかもしれません。
これらのサービスは、 なるべく早く契約内容を確認し、必要に応じて解約手続きを行いましょう。
スマートフォンやパソコン自体の解約や継承
デジタル遺品の整理が終わったら、遺されたスマートフォンやパソコンをどうするのか決めましょう。
オフラインデータだけ見る場合や売却を考えている場合には解約を、そのまま相続人が使う場合には、契約を引き継ぎます。
解約を忘れると月額料金などの支払いが発生し続けるので注意しましょう。
また、名義変更や新しい契約の手続きが必要になることもあるため、事前に必要な書類を準備しておくとスムーズです。
特にスマートフォンの場合、キャリアによって手続きが異なるため、各キャリアの公式サイトを参考にしてしっかりと確認しておきましょう。
デジタル生前整理をしよう
デジタル生前整理は、自身のデジタルデータを整理し、遺族が困らないように準備する大切なステップです。
故人が残した情報やデータが整理されていれば、遺族はスムーズにデジタル遺品を処理でき、精神的な負担も軽減されます。
ここからは、デジタル生前整理を行うための方法や注意点を紹介します。
本体のロック解除の方法がわかるようにしておく
デジタル遺品で最も多い困りごとは、「スマートフォンやパソコンのロックの解除方法がわからない」というものです。万が一の場合にそなえ、ロックの解除方法がわかるようにしておきましょう。
「元気な間に見られても困る・・・」という方は、自分に万一のことがあった場合に、家族が見つけられる場所に隠しておきましょう。
使っているサービスやアカウント名・パスワードの一覧を作る
ロックを解除した人が辿り着けるような場所に、使っているサービスやアカウント名・パスワードの一覧を作っておきましょう。
セキュリティの観点から、自分が元気である間には、定期的にファイル名を変えたり、場所を移しておくのがおすすめです。
ロックの解除方法がわかる場所に、そのファイルの場所のヒントも入れておきましょう。
また、パスワード管理アプリの利用もおすすめです。
パスワードの管理が簡素化され、セキュリティも向上します。
見られたくないフォルダにはパスワードを設定する
自分は好んで見ているけれど、他の人には見られたくないものは誰にでもあるでしょう。
そういう場合には、見られたくないものをフォルダにまとめてパスワードを設定しておきましょう。
金融資産でもない限り、そのパスワードは他人に共有する必要はありません。
また、一定時間ログインしないとデータを消去してくれるソフトもあります。場合に応じて活用しましょう。
記憶媒体の劣化を考慮する
スマホやCD・DVDなどは、衝撃や経年劣化で正常に動かなくなることもあり、最悪の場合、二度と閲覧できなくなります。
このような事態を避けるため、あらかじめデータを別の記憶媒体に移行しておくのも手です。たとえば、『ダビングコピー革命』というサービスを使えば、VHSやカセットテープのデータをダビングして長期保存することが可能になります。
加えて、クラウドサービスを利用することも一つの選択肢です。これにより、物理的な劣化を気にせず、データを安全に保管することができます。ただし、クラウドサービスの利用にはパスワードやアカウント情報の管理が必要になりますので、慎重に整理しておきましょう。
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まとめ
以前よりもデジタル遺品という言葉は浸透してきていますが、自身のスマートフォンやパソコン、そこに入っているデータを遺す人は少なくありません。自分が遺す側でも遺される側でも、法的なリスクを含めてどんな対応があるか知っておいて損はないでしょう。
ここまでデジタル遺品の対処法を紹介しましたが、遺品には衣服や家具といった形のあるものも含まれます。デジタル遺品ほど扱いに困りませんが、サイズが大きかったり重かったりすると対処しきれない場合もあるでしょう。
そんなときは遺品整理業者に依頼するのも手です。遺品整理業者とは、亡くなった方が残した品物を回収してくれる業者のことで、仏壇のような大きくて重たい遺品も回収してくれます。
わたしたちおうち整理士も遺品を回収しています。故人が遺したスマートフォンやパソコンもプライバシーに配慮しながら慎重に処分しておりますので、遺品整理でお困りの方はお気軽にご相談ください。
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これまでにおうち整理士で700件以上の遺品整理を担当。特殊清掃、リフォーム、骨董品買取など幅広い経験を重ねた上で知識を取得し、お客様に寄り添った仕事をモットーとしている。一般社団法人 遺品整理士認定協会「遺品整理士」を所持。