遺品整理はメルカリでできる?|税金について解説
最終更新日:2025.07.01

遺品整理は故人を偲びながらも時間と労力がかかる作業ですが、近年ではメルカリのようなフリマアプリを活用して遺品整理を進める方が増えています。
メルカリを利用することで、不用品を処分できるだけでなく、売上金を得られるというメリットがあります。
しかし、メルカリで遺品を売却する際には、税金に関する注意点も存在します。
本記事では、メルカリを利用した遺品整理における税金や、メリット・デメリット、さらには遺品を高く売る方法やメルカリ以外の処分方法についても詳しく解説します。

こんにちは。おうち整理士の榛田(はりた)です。今回は、遺品整理にメルカリを利用する場合の税金関係や、スマートに利用するコツについてご紹介します。
目次
遺品整理でメルカリを利用する際の税金
遺品整理でメルカリを利用する際の税金について解説します。
遺品売却益にかかる税金
遺品をメルカリで売却して得た利益は、原則として譲渡所得に区分されます。
生活用動産の売却による所得は非課税となりますが、後述する課税対象となる物品を売却し、年間50万円を超える譲渡所得があった場合は課税の対象となります。
譲渡所得の金額は、売却価額から取得費(購入時の金額など)と譲渡費用(販売手数料や送料など)を差し引いて計算されます。
この譲渡所得には、年間50万円の特別控除があります。
生活用動産ってなに?
生活用動産とは、生活に必要とされる動産(財産)を指します。
具体的にはテーブル、タンスなどの家具や、洗濯機、冷蔵庫などの家電に加え、生活に必要な車両(自転車、自動車)、生活に必要な衣類などが挙げられます。
課税対象となる遺品の種類
生活用動産の売却による所得は非課税ですが、一部の遺品は課税対象となる場合があります。
具体的には、貴金属や宝石、書画、骨とう品などで、1個または1組の価額が30万円を超えるものの譲渡による所得は課税対象です。
また、営利目的での継続的な販売と見なされる場合や、生活用動産であっても、家具や自動車などのうち、一般的な生活に必要とは見なされない、非常に高価な物品の売却益も課税対象となる可能性があります。
相続税との関係性
メルカリで遺品を売却すること自体が、直接的に相続税の額を増減させるわけではありません。
相続税は、相続した財産全体の価値に対して課税されるものであり、遺品の売却は相続後に発生する行為です。
しかし、高価な遺品を売却した場合、その売却額が遺品の評価額として相続税の申告に影響を与える可能性はあります。
相続税の申告を行う前に高価な遺品を売却する際は、専門家である税理士に相談するのがおすすめです。
確定申告と申告時期
遺品整理でメルカリを利用し、課税対象となる遺品を売却して年間50万円を超える譲渡所得があった場合は、原則として確定申告が必要となります。
確定申告の期間は通常、その年の翌年の2月16日から3月15日までです。
売却益が50万円以下であれば、確定申告は不要です。
確定申告が必要かどうかの判断に迷う場合や、申告方法が分からない場合は、税務署や税理士に相談すると良いでしょう。
→あわせて読みたい
「相続放棄しても大丈夫?遺品整理の前に確認しておくべきことを解説」
メルカリを使うメリットとデメリット
遺品整理においてメルカリを利用することには、様々なメリットとデメリットが存在します。
これらを理解しておくことで、メルカリが自身の遺品整理に適した方法かどうかを判断する際の参考になるはずです。
メルカリで遺品を売るメリット
- 収益を得られる
- 納得のいく価格で売却できる
- 必要としている人に直接渡せる
メルカリで遺品を売却する最大の利点は、遺品を単に処分するのではなく、収益を得られる可能性がある点です。
また、自分で価格を設定できるため、遺品に思い入れがある場合でも納得のいく価格で手放せるかもしれません。
必要としている人に直接遺品を届けられるという点もメリットとして挙げられます。
メルカリで遺品を売るデメリット
- 出品に手間と時間がかかる
- 保管スペースが必要
- 手数料
- トラブルの危険性
メルカリで遺品を売却するデメリットのひとつは、出品作業に時間と手間がかかる点です。
写真撮影や説明文の作成、購入者とのやり取り、梱包、発送など、全ての工程を自分で行う必要があるため、遺品の量が多い場合は、かなりの負担になる可能性があります。
また、出品してもすぐに売れるとは限らず、売れるまでの間、遺品を自宅で保管しておくスペースが必要になります。
さらに、メルカリでは販売手数料(売上金額の10%)がかかる点や、個人間の取引ゆえにトラブルが発生する可能性も考慮する必要があるでしょう。
遺品を高く売るための方法
メルカリで遺品をできるだけ高く売るためには、いくつかの工夫が必要です。事前に押さえておきましょう。
きれいに掃除する
まず、遺品をきれいな状態にしてから出品することが大切です。汚れや埃を取り除くことで、商品の印象が格段に良くなります。
付属品や外箱があれば、一緒に揃えて出品することでより高値で売れやすくなりますよ。
写真を用意する
次に、商品の状態がよく分かる写真を複数枚掲載しましょう。
明るく鮮明な写真を様々な角度から撮影することで、買い手は安心して購入を検討できます。
詳細な情報を記載する
説明文には、商品の詳細な情報(ブランド、サイズ、状態、使用頻度など)を丁寧に記載しましょう。
遺品の場合、いつ頃の物か、どのような用途で使われていたかなどを加えると、より商品の背景が伝わりやすくなることもあります。
適切な価格を設定する
価格設定については、類似商品のメルカリでの取引価格を参考に、適切な価格を設定することが重要です。
最初は相場価格に設定し、売れ行きを見ながら調整するのも一つの方法です。
コレクターズアイテムや希少価値の高い遺品の場合は、価値をしっかりと調べた上で価格を設定することが高額売却に繋がる可能性があります。
メルカリ以外の遺品処分方法
メルカリ以外にも、遺品を整理・処分する方法は複数あります。それぞれの方法に特徴があり、遺品の種類や量、自身の状況に合わせて選択しましょう。
他のフリマアプリやネットオークション
メルカリと同様に、PayPayフリマやラクマなどの他のフリマアプリ、またはヤフオク!などのネットオークションを利用して遺品を売却する方法があります。
それぞれのプラットフォームでユーザー層や手数料、出品できるものに違いがあるため、遺品の種類によって使い分けることで、より効率的に買い手を見つけられる可能性があります。
複数のプラットフォームを比較検討し、遺品に合った売却方法を選ぶことが大切です。
買取専門業者
骨董品、美術品、ブランド品、貴金属、古銭など、特定の分野に特化した買取専門業者に遺品の査定・買取を依頼する方法も有効です。
これらの業者は専門知識を持っているため、遺品の適正な価値を見極め、適正価格で買い取ってくれる可能性が高いです。
出張買取サービスを利用すれば、自宅で査定してもらえるため、遺品を自分で持ち運ぶ手間が省けます。
複数の業者に査定を依頼して比較検討することで、より有利な条件で売却できることもあります。
遺品整理専門業者
遺品の量が多い場合や、家具や家電などの大型遺品が多い場合、あるいは遺品整理に時間をかけられない場合は、遺品整理専門業者に相談することを検討しましょう。
遺品整理業者は、遺品の仕分けから不用品の処分、清掃までを一括して請け負ってくれるため、遺族の負担を大幅に軽減できます。
遺品整理業者の中には、買取サービスを提供している業者もあり、価値のある遺品を買い取ってもらい、その買取代金を遺品整理費用に充てられる場合もあります。
複数の業者から見積もりを取り、サービス内容や費用を比較検討することが重要です。
また、悪質な業者も存在する可能性があるため、業者の実績や評判をしっかりと確認しましょう。
→あわせて読みたい
「遺品整理を業者に依頼するメリット6つ|どんな業者を選ぶと良いかも解説」
まとめ
遺品整理でメルカリを利用することは、不用品を整理しつつ収益を得られる有効な手段です。
しかし、遺品の売却益が課税対象となる場合があることや、出品や発送に手間がかかるという側面も理解しておく必要があります。
特に、高額な遺品を売却する際は、税金に関する専門的な知識が必要となる場合があるため、税務署や税理士に相談することを検討しましょう。
これまでにおうち整理士で700件以上の遺品整理を担当。特殊清掃、リフォーム、骨董品買取など幅広い経験を重ねた上で知識を取得し、お客様に寄り添った仕事をモットーとしている。一般社団法人 遺品整理士認定協会「遺品整理士」を所持。